今週末で終わってしまいますが、
過日川崎市民ミュージアムで開催している 実相寺昭雄展・・・ウルトラマンからオペラ「魔笛」までを見てきました。 亡くなってからもう5年が経とうとしてるんですね。 永く川崎に住んでいたことから、遺品が川崎市に寄贈されて この企画展に到ったようです。 何度もこのブログで記していますが、初期のウルトラシリーズには 多大な影響を受け、とくにこの実相寺さんの作品は ひと言では言い表わせないほど身体に染み付いています。 ウルトラマンやセブンでの作品はもちろん、 70年代に撮った映画やCM作品、造詣の深かったクラシックの演出や、 晩年の作品までてんこ盛りでした。 光と影、影というより陰、郷愁を駆り立てる美しい構図と映像。 久しぶりにその世界に浸り、堪能することができました。 映像だけでなく、残した作品のメッセージ性も普遍的です。 ウルトラマンでの6話、セブンでの4話、怪奇大作戦での2話は 今見ても心をえぐるようなメッセージ性を帯びています。 なんかウルトラマン大好きな先生が授業でジャミラがでる「故郷は地球」を見せて、 児童たちに感想を話し合うなんて試みをしてるのを最近テレビで見ました。 影響を受けた子供たちが大人になってその精神が受け継がれるのは とっても重要なことです。 そういえば最近宇宙ステーションに滞在している宇宙飛行士の古川さんが セブンをみて宇宙飛行士になろうと思ったって話していましたね。 前にも六本木ヒルズでのウルトラ博覧会に行ったとき、 会場入り口に「ウルトラセブンにあこがれて宇宙に行きたいと思いました」って 同じく宇宙飛行士の若田さんからのメッセージが展示されてました。 僕も同じくセブンが大好きだったんですが、 宇宙への興味は正直まったくなかったんですね。 いったい何がこの違いになっちゃったんだろうと考えたんですが、 思うにこの実相寺作品がポイントなんじゃないかと思ってます。 なにしろ実相寺さんが監督したセブンでの4作品では、 宇宙人が出てこないのもあるし、 有名なちゃぶ台をはさんだメトロン星人とモロボシダンとか、 東京の下町や川崎あたりの工業地帯の日常とか、 およそ宇宙とは遠くは離れた場面がほとんどです。 でもちゃんと宇宙人の関わりが描かれていて、 それがファンタジーに昇華されています。 僕は遠く離れた宇宙より、その作品を作った人や場所の方に なぜか心惹かれてしまうんですね。 かっこよく言うと、その人の内面にある宇宙、 その場所で感じる宇宙に興味があるとでも言うんでしょうか。 おそらく実相寺作品に魅せられた人たちはみんなそんな感じじゃないでしょうか。 そうそう、年表なんか見ると、若い頃は闘いの連続だったようですね。 独特の演出技法を理解しない会社の上司に左遷させられたり、 独立してからもコマーシャル性に乏しくて金銭的にタイトだったこともあって CMの演出を数多く手がけたり、職業監督に徹して作品を作ることも記してありました。 晩年はいろんな意味でリスペクトされてましたが、 時代がようやく追いついたんだろうと思います。 とはいえ、こういうマニアック度の高いイベントを 果敢に開催した川崎市には敬意を表します。
by slow-h
| 2011-09-02 19:12
| 雑記
|
ファン申請 |
||