僕も四半世紀愛読している「暮らしの手帖」をモチーフにした 「とと姉ちゃん」はいよいよ最終回を迎えます。 毎回オープニングで流れるのが 宇多田ヒカルさんの「花束を君に」。 先日お母さんである藤圭子さんに捧げた歌であると、 ご本人も語っていました。 その歌詞の意味を噛みしめると とても切なく感じます。 そのとと姉ちゃんがスタートした直前の 今年の4月に、 スカパーで「さすらいの太陽」というアニメを 一挙放送していました。 このアニメのモデルが実は藤圭子さん。 内容といえば、かつての大映ドラマのアニメ版といったもので、 ドロドロした人間関係に ありえない展開のオンパレードで、 これを一挙放送するんですから、 見ないわけにはいきませんでした。 モデルとはいえ、 藤圭子さんの人生がこんな風とは思えませんが、 確かに昭和の闇や陰を感じさせる人ではありました。 このアニメの最後で流れる「心のうた」と 「花束を君に」は、何の関連もありませんが、 どことなく聴いた後の心持ちが似通っているんです。 それは暗やみに射すひとすじの光を信じるような感じ。 宇多田ヒカルさんの歌は、 あらかじめ敗北を織り込んでいるような哀愁があります。 絶対的な勝利を味わっているはずなのに、 なぜか敗北する…。 そんな清らか敗北感があります。 暮らしの手帖にもそんな清らか敗北感を誌面から感じることがあります。 それが魅力で長年読み続けているような気がします。 掲げる理想が高ければ高いほど、 目的地が遠ければ遠いほど、 現実との歪みがまとわりついてくる、 そんな感じがします。 さすらいの太陽を見終わった後の 花束を君には、 相当感情を揺さぶらました。 でも決してイヤなものではなく、 むしろ心地よいものでした。
by slow-h
| 2016-10-01 00:20
| 雑記
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