時間が経ち、コンサートの内容はネットとかでもいっぱい出てますが、 僕なりにお伝えしたいと思います。 本編のコンサートも、2日ともとてもいい席で観ることができました。 開演前にDJミックスされたビートルズやポールの曲が会場内に流れてるんですが、 中でもジョンが歌うツイスト&シャウトが流れた時に、 これは過去の来日公演とはまったく違うものになる予感がしました。 だっていくらビートルズの曲とはいえ、 ポールのコンサートにジョンの歌声が流れるなんて以前には考えられないですよね。 実際セットリストの3分の2はビートルズナンバーで、 オープニングのエイトデイズアウィークのメインはジョンのヴォーカルですし、 ジョンの曲ミスターカイトも演りましたし、 過去ここまでビートルズの曲に真摯に向き合うことはなかったと思います。 また、バックインザU.S.S.R.では曲にあわせて流れる映像のなかに、 「Free Pussy Riot」と出たのをしっかり確認しました。 Pussy Riotはプーチン大統領に批判的な曲を作ったりして 逮捕・収監されたロシアのロックバンドですが、 ちょうど来日公演中にポールがプーチン大統領宛に そのことに抗議する書簡を送ったことがリリースされました。 あとブラックバードを歌う前に、長めのMCで 「60年代アメリカではたくさんの人が困難を抱えていた。公民権運動だ。 イギリスにいてその人たちを励ますために作ったんだ」と言って ブラックバードをアコースティック1本で歌うのですが、 それこそアコースティックギターの練習曲的なこの曲を 丁寧にそして誠実にちょっと鳥肌が立つような演奏でしたね。 こうして社会性を帯びたメッセージを忘れないところもよかったですね。 個人的には11年前にも演ってましたが、 サムシングをジョージのウクレレで演奏するところを心待ちしていました。 今回は最初はポールが一人でウクレレを弾いて歌うんですが、 途中からバンドも加わり、オリジナルに忠実な演奏に変わる ジョージの追悼コンサートを再現してくれました。 そこからステージ背面に在りし日のジョージの姿が映し出されるんですね。 僕はジョージ派なので、ここは噛みしめるように聴き入りました。 ポールとジョージの関係って実のところ複雑というか微妙で、 映画レットイットビーのなかでの有名な口論シーンなんか象徴的ですが、 もともと学生時代弟分的存在だったジョージは、 大人になるにつれポールが疎ましく感じられるようになったんじゃないかと思うんですね。 いい仕事をしても、その上を行く圧倒的な天才がいては自分が浮かばれないですからね。 ジョージにとってビートルズは居心地のいい場所でなくなっていったことは想像できます。 ジョンの死後90年代のアンソロジープロジェクトの時には、 ポールはずいぶんジョージに花をもたせてる感じがしてました。 また、追悼コンサートにポールも出演してましたが、 主催はクラプトンで、参加ミュージシャンのほとんどは ジョージがソロになってからの人脈のひとたちで、 なんとなく遠慮しているポールの姿を感じました。 その辺りの微妙な関係をファンの人達みんな感じてたんじゃないでしょうか? そんなこともあって、前回以上にジョージへの愛情と敬意を 十分に感じるポールのサムシングにこみあげるものがありました。 どの曲にも特別な思いを抱きながら夢の時は最後を迎えました。 2度のアンコールに応え、最後はビートルズの実質最後の作品 アビーロードのB面メドレー 「ゴールデンスランバー〜キャリーザットザウェイ〜ジエンド」 90年の時も最後はこれでしたが、迫力が全然違います。 今回の方が圧倒的にリアリティがありました。 初めて聴いた10代の頃には感じなかったけれど、 「君はこれから先重荷を背負って行くんだよ。」というキャリーザットウェイトの メッセージは、歳を重ねた現在の方が重く感じます。 あの時ドームにいた全ての人がこの夢が醒めないでほしいと思っていたでしょう。 でもいつか夢は醒めます。 君は夢のあと、どう現実と向き合うんだい? というポールからのメッセージを胸に、素晴らしい2日間が終わりました。
by slow-h
| 2013-11-27 01:25
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