トランプさんが大統領選に勝って、
世界中が大騒ぎになっていますが、 勝因のひとつにラストベルトと呼ばれる地域の人たちの 票を獲得したからといわれています。 ラストベルトは、アメリカの中でもかつて製造業で繁栄していたけれど 時代とともに衰退してしまった地域をそう呼んでいるそうですね。 今年の夏にそんなニュースを見て、 ふとある曲を思い出しました。 それはビリージョエルの「AllenTown」 かつて鉄鋼業で栄えていたけれど、 今ではすっかりうらぶれて住みにくくなってしまい、 みんなどこかにいってしまったけれど、 それでもオレはここに住み続けるんだ・・・ といった少しもの悲しいけれど 力強いピアノのビートにのせてビリーが歌う名曲です。 アレンタウンはまさにラストベルトにある街です。 この曲が発売されたころは、あまり評価されなかったように記憶しています。 当時アメリカは、レーガンが大統領になって 強いアメリカを取り戻す的な流れで、 70年代の遺物をわざわざ歌にしたアレンタウンは、 何となく時代に合ってないと思われたんでしょうね。 そのアレンタウンが収録されている ビリージョエルの「ナイロンカーテン」は、 それまでの陽気でスマートなニューヨーカーだった彼が、 社会問題を作品にした意欲作で 僕は大好きだったんですが、 それまでの作品に比べると評判はよくなくて、 さらにその1年後に発表した「イノセントマン」が 大ヒット作になったことに 僕はポップミュージックとアメリカという国の不思議さを つくづく感じたことを覚えています。 イノセントマンはわずかな制作時間で作った作品ですが、 ドゥワップやR&Bのフレーバーがいっぱいの楽しいアルバムです。 おそらくビリージョエルとしては、 自分の中にあるアメリカへの深い思いを作品にした ナイロンカーテンをファンが支持してくれることを期待したのでしょうが、 むしろファンはお気楽なポップアイコンな作品の方が ぼくらのビリージョエルなんだという意志表示を アルバム売上枚数で示したわけです。 その後ビリージョエルはだんだんと ポップミュージックのフロントランナーの位置から下がってしまい、 それまでのような作品を世に出すことがなくなってしまいました。 僕はここにアメリカ人あるいはアメリカという国の本質を感じます。 シリアスなものより陽気で楽しいことへの同意。 ビリージョエルは母国のその本質に触れて、 少し音楽への熱意が冷めてしまったのではないかと思っています。 逆にトランプさんはそこをうまく突いたように思います。 彼は難しいことは言わず、 品はありませんが、わかりやすい言葉で国民に訴えかけ、 内向きになった世相は世界のことなんかより、 自分たちの日々の暮らしが陽気で楽しくいられることが 何よりも優先するのだと、 トランプさんの言葉でアメリカはそうでいいんだと 国民の多くが覚醒したんじゃないでしょうか。 それがいいことか悪いことかはわかりませんが・・・。 もしこの2016年にアレンタウンが世に出ていたら、 ビリーが歌にこめた思いとは反するかもしれませんが、 今のアメリカ人はすごく共感したんじゃないでしょうか。 そう思うとビリージョエルが今回の大統領選をどう見ていたのか、 知りたいような気がします。 #
by slow-h
| 2016-11-17 22:15
| 音楽よもやま話
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by slow-h
| 2016-11-10 11:27
| 住まいのようす
昨日で全日程を終えた
リンゴスター&ヒズオールスターバンドのジャパンツアー。 どういうわけかチケットがまったく取れず 結局名古屋公演に行ってきました。 リンゴを観るのは実に27年ぶり。 クイーンの31年に迫る久しぶりでした。 その時の印象はあまり残っていませんが、 ビリープレストンがいたことは よく覚えいます。 こういったオールスターバンドは、 どうしても散漫なものになりがちですが、 疾走感があって、 どんどん引き込まれていく感じでした。 みんな芸達者なメンバーですから 当たり前といえば当たり前ですが... リンゴも終始ご機嫌で、 観客とのやり取りもあって、 とても楽しいライブでした。 だいたいメンバーに従えている スティーブルカサーのギターが聴けるだけでも、 贅沢な出来事ですからね。 ビートルズ時代のナンバーを 気負いなく披露するリンゴに、 感謝というより敬意の念が湧いてきました。 ライブのラストは "With a little help my friends" 会場が大合唱になりました。 そうか、この一瞬のために続けているんだなって思いました。 ビートルズはほとんどジョンとポール、 少しだけジョージが歌ってますが、 3人が歌っている時は、 リンゴがコーラスしてはいません。 でもリンゴが歌う時は、 他の3人がコーラスをやるので、 結構ハーモニーの質が高かったりします。 まさにWith a...はそれ。 しかもコール&レスポンスもあって みんながリンゴと一緒に歌え、 ジョンやポールやジョージになれる… これはポールのライブでは味わえないひと時です。 ファンにそんな特別な時間をプレゼントするために、 76歳になった今も、 ワールドツアーを続けているんだなと思うと、 リスペクトする以外ありません。 今日リンゴは「See you next time 」 とツイートしてましたが、 今回が最後の来日になるかもしれません。 そうなったとしても、 心に深く残るとてもいいライブでした。 ツアーグッズもやたら売れてました。 ゲットしたトートバッグです。 #
by slow-h
| 2016-11-03 16:12
| 音楽よもやま話
先日この時期恒例の行事
娘の学校の文化発表会があり、見てきました。 事前に聞いてたのですが、 3年生みんなで"imagine"を歌うとのことで、 少しでも上手に歌えるように 数日前から我が家のホワイトボードに 歌詞と発音をカタカナで示して 娘のフォローをしてたのですが、 イマイチ評判がよくなくて、 当日はどんなものかと思ってました。 本人いわく難しくてわかりにくいとのこと。 言われみれば、中学時代ビートルズにどっぷりだった僕でも、 イマジンは知ってましたが、 あんまり聴かなかったし 聴いたところでそのなんたるかなんて 考えもしませんでしたからね。 高1の時にジョンが亡くなって、 それで曲の意味を深く心に刻みました。 ちょっと中学生には難易度が高いかもしれませんね。 むしろ今来日してるリンゴが歌う "With a little help my friend"の方が、 意味も分かりやすく、 ちょっと英語ならではの歌い回しがあったり、コール&レスポンスがあったり、 曲も楽しげだし、 それをみんなで合唱した方が 本人達も達成感が味わえたように思ったりします。 それでも演出でステージ上のスクリーンに ジョンの写真が映し出され、 その下で娘がイマジンを歌っている様は ビートルズによって人生が変わった僕にとって、 実に感慨深いシーンでした。 いつかこの曲の意味がわかるようになり、 合唱したことを胸に刻んでくれたらと 思っています。 #
by slow-h
| 2016-10-27 15:59
| 娘との絆
数日前から話題になっている
ボブディランのノーベル賞受賞ですが、 どうも賛否両論で、 日本ではその賛否さえもよくわからないけれど、 とりあえずノーベル賞取ったんだからすごいだろうと、 なんだかCDが売れたりしてるみたいですね。 でも、間違いなくケガしますよ。 それを機にボブディランを聴いて、 そのよさが解るなんてこと、たぶんないでしょう。 僕もあまりディランのノーベル賞にはピンときませんが、 それは逆にノーベル賞がなんなのか、よくわからないからかもしれません。 本人もなんだかやっかいなことに巻き込まれたなぁ・・・なんて 思っているんじゃないでしょうか? いえることは、 ノーベル賞を取ろうがどうしようが、 ファンのほとんどがディランに対する評価やスタンスは変わらないのではないでしょうか。 ぼくも優秀なディランフォロワーではないので、 あまり偉そうなことはいえませんが、 前作のテンペストでは齢70にして 10分を超える曲を生み出すそのエネルギーは、 まさにノーベル賞ものだと思っていましたが、 創作の泉が尽きないその生き様は、 誰も到達していない領域といえるでしょう。 先週末のDesertTripでは、 久しぶりに"Like A Rolling Stone"をやったみたいですが、 彼なりの賛辞へのお礼だったかもしれませんね。 まさか66年のロイヤルアルバートホールのときみたいに、 観客から「おまえはユダだ!!」なんて言われてないと思いますが。 #
by slow-h
| 2016-10-18 22:42
| 音楽よもやま話
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